週に一度、神戸にある大学に非常勤講師で通っている。遠方ゆえに、もちろん今年度のみの担当である。
キャンパス内を歩いていると、学生さんが「先生が突然いなくなったので、体調をくずされたのか、妊娠されたのか、みな心配していたよ」と話しかけてきた。妊娠というのは、少し笑えた。さらに足をすすめると上の方から「米村さ~ん、ゆっくり話たいことがあるのだけど」と元同僚の声が降ってきた。せっかくだが「また今度にしましょう」と帰路へ。裏出口は、長い階段なのだが、そこから見渡す神戸一望の景色がすばらしいので降りていると、体育館の方から「米村センセー、元気ですかあ~」と大きな声で手をふってくれた学生さんがいた。その学生さんは、所属学科に入学してきた学生さんだが、新入生だったので、一年間のみのつきあいだった。すぐにいなくなって、申し訳ない気持ちになった。
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小学生のとき、親戚の家からの帰路の車中で、はじめて神戸の景色をみたときの驚きを今でも覚えている。その記憶に残る景色は、今考えると六甲あたりのふもとなのだが、山を切り崩したところに広がる家々をみて、こんな景色があるのだと深く心を動かされた。一昨日、所用で芦屋駅の海側から山側に歩いて、ふと村上春樹さんの『風の歌を聴け』に出てくる神戸の風景を語った部分が思い出された。主人公が東京の大学に通って、夏休みに帰省したときに神戸のことを語った設定だが、いま関東に職場を変えて、こうして時々神戸にくると『風の歌を聴け』が幾分センチメンタルに神戸のことを語っているのが、実感として伝わってくる。これまで、いろんな場所を転々と引っ越ししたけれど、景色としては神戸が一番気に入っている。でも、それも『風の歌を聴け』の影響かもしれない。
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新型インフルエンザ感染者が神戸で確認されたとのことで、非常勤先は来週一週間休校措置になった。
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