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研究するために働く
日本アニメーション学会が青森県で開催されたため、太宰治の生家・斜陽館に足を運んだ。今となっては昔のことだが、大学院生のとき安藤宏先生による太宰治についての集中講義を受けた。斜陽館には斜羊羹(しゃ・ようかん)が売られていると聞き、授業中ずっと笑いをこらえていた。近くの売店に、本当にその羊羹が売られていた。斜陽館から歩いてすぐのところに、太宰治の『思ひ出』に描かれた地獄絵のある雲祥寺があった。・・・・高校1年生の春、少しだけ小説を書いたことがある。それは、主人公が、太宰が見たという地獄絵に感化され、罪意識を持ち必然の死を考えるという拙い文からなっていた。原稿用紙にして2,3枚の出だし部分のみの分量だったけれど、一年後ぐらいに、その小説を読んだ同じクラスの子が、小説の出来はともかく、主人公の気持ちに素直に共感できたからぜひ続きを書くべきだ、と言ってくれた。少し嬉しかったけれど、小説はそれっきりになった。その地獄絵は、本当にあった。何十年の後に、自分が目にする日が来ようとは・・・。飛行機で帰路についた翌日、教授会等の会議のあと、再び、大学から直接空港へ向かった。オーストラリア、冬だった。パネル発表をしたあと、しっかり風邪をひいたが、帰路は朝5時過ぎに空港に到着。コインロッカーにスーツケースを預けたまま、大学へ向かい、夜まで研究室で仕事。さすがにふらふらになった。・・・私は、生活費を稼ぐために研究をしているのではなく、研究するために働いているのだと思った。
2017/07/04(火)
23:30
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