午前中に時間がとれ、美容室へ前髪カットに行く。それまでの私は、男性の美容師さんに苦手意識を持つことが多かったのだが、その方は大丈夫だった。むしろ「仕事意識」が強く「自分」をしっかり持っている方で髪について学ぶことも多かった。
「自分は○○が苦手」と決めつけてはいけない、無理かもしれないと思ったことでも、とりあえずやってみなければ様々な機会を失う。当たり前のことだけれど。
お店は、本州以外のある場所出身のスタッフを集めていて、和気あいあいとした雰囲気もよかった。すると美容師さんが、8年間勤めていた美容室を辞め、友だちとお店を出すという。美容師さんは、こう言った。
新しい店で失敗したら、また戻っておいでと店長がいってくれた。とてもありがたいが、保険をかけるのはどうか、と。
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私たちは、人生のいろいろな場面で「保険」をかけている。
これがだめだったときに備えてこうしよう、と。
「保険」をかけるかどうかは「本気度の高さ」と関わっているのだろう。そして「保険」をかけるということは、諦めることができるという選択肢があるということだ。
私の場合を考えてみた。「研究者になれなかったら」という選択肢はなかった。単に向こう見ずな振る舞いだったのだが。
これから先「保険」をかけない人生の選択肢を少なからず持つことができれば、素敵なことだな、と思う。
「代わりのものは見つけられない」という仕事に励み「あなたの代わりはいない」という人と付き合ってゆく。
もちろん、人生にはいろいろあるから、大事なものを失う不安といつも隣り合わせになる。そんな不安に負けないで闘うことができれば、と思う。
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