研究所の研修でポーランドに行き、アウシュビッツとビルケナウの収容所に足を運んだ。「負の遺産」を直接目前にして、思い出したことの一つは、山崎豊子の小説『白い巨塔』の2003年版のTVドラマの1シーンだった。10年ほど前にみた映像でひどく印象に残っていた「画」は、見渡す限り立ち並ぶ茫漠たる収容所と線路だった。それが、ビルケナウの方だったのだと今更ながら気づいた。
再度、確認してみたいため、DVDで「白い巨塔」第11話を取り寄せ観た。野心家の医師・財前がワルシャワの学会に出席した際、アウシュビッツを訪れるのだ。今回研修の視察で観たアウシュビッツも、ビルケナウも、展示された写真も髪の毛もガス室も、映像は映し出していた。しかし、10年後の私の記憶に深く刻まれていたのは、ほかでもないビルケナウの茫漠さと線路だった。そして、今回、実際に目にして、やはり最も心に焼き付けられたのは、同じ風景だった。
2003年のTV版は、世界で初めてアウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所がフィクション作品のロケが行われたという。何気なしに観ていたTVドラマの享受が後になって深く関連したケースだった。
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